Mayumi Hosokura, <i>Walking, diving</i> <br class='--mq'>© Mayumi Hosokura

Mayumi Hosokura, Walking, diving
© Mayumi Hosokura

Ai Iwane, <i>A NEW RIVER</i> <br class='--mq'>© Ai Iwane

Ai Iwane, A NEW RIVER
© Ai Iwane

Momo Okabe, <i>ILMATAR</i>, 2017 <br class='--mq'>© Momo Okabe

Momo Okabe, ILMATAR, 2017
© Momo Okabe

Mayumi Suzuki, <i>HOJO</i> <br class='--mq'>© Mayumi Suzuki

Mayumi Suzuki, HOJO
© Mayumi Suzuki

Hideka Tonomura, <i>soul trip</i>, 2012-2020 <br class='--mq'>© Hideka Tonomura

Hideka Tonomura, soul trip, 2012-2020
© Hideka Tonomura

Tamaki Yoshida, <i>Negative Ecology</i> <br class='--mq'>© Tamaki Yoshida

Tamaki Yoshida, Negative Ecology
© Tamaki Yoshida

ARLES ASSOCIÉ 2024 LES RENCONTRES DE LA PHOTOGRAPHIE 01.07―29.09 2024 Exposition de 6 photographes japonaises à Vague Arles

TRANSCENDENCE―超越

「TRANSCENDENCE(超越)」では、写真の多様な言語を探求し、写真表現を肯定とレジリエンスへと昇華する 6 人の日本人女性写真家、細倉真弓、岩根愛、岡部桃、鈴木麻弓、殿村任香、𠮷田多麻希の作品を展示する。

本展は、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭第10回を記念し、ルシール・レイボーズ、仲西祐介、ポリーヌ・ベルマールの企画により2020年に開催された「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」展にインスパイアされ、同展に参加した写真家の数名の作品に焦点を当てている。彼女たちの作品に内在する親密性や集団社会における体験は、現代の日本社会の複雑性やその先にあるものを私たちに投げかけている。

細倉真弓は「Walking, Diving」で、サイアノタイプの技法を用いて、視覚という極めて個人的な体験を地図にした。岩根愛は、パンデミックに制作した「A NEW RIVER」で、桜と歴史的要素を重ね合わせた。鈴木麻弓は「豊穣」で、自分自身のヌードやいびつな形の野菜のポートレート、ソノグラム(超音波写真)を用いて、不妊治療の経験を詩的に喚起している。岡部桃は「Bible」および「ILMATAR」のシリーズで、独創的な色遣いでジェンダー・イシューを親密かつありありと描写し、超越した表現へと昇華した。殿村任香の「魂トリップ soul trip」は、通過儀礼とも言える韓国での旅を通じ、祖父母が結ばれた愛をたどることで、社会における憎しみの境界を越えていく。𠮷田多麻希は「Negative Ecology」で、洗剤などの家庭用化学薬品を混ぜ動物や自然が写された写真を現像することで、私たちの日常が生態系に及ぼす影響を幻想的な視覚表現とともに問いかける。

日本で制作された6名の作品は、KYOTOGRAPHIEが第1回からタッグを組んでいる小西啓睦のデザインによる洗練されたセノグラフィーにより展示される。「TRANSCENDENCE(超越)」は、いわゆるグループ展ではなく、6人の写真家それぞれに光を当てる万華鏡のような展覧会として開催された。写真の力を通して、ヴァルネラビリティ(脆弱性)、多様性の美しさ、そして自分の物語や歴史をあらたに作っていく勇気を持つ女性たちの不屈の精神を讃えているのだ。

日程
2024.7.1―9.29
開館時間
10:00―19:30
入場料
6ユーロ
会場
Vague Arles
住所
14 Rue de Grille,
13200 Arles, France

Hosokura Mayumi

細倉真弓

東京/京都在住。触覚的な視覚を軸に、身体や性、人と人工物、有機物と無機物など、移り変わっていく境界線を写真と映像で扱う。立命館大学文学部、及び日本大学芸術学部写真学科卒業。主な写真集に『NEW SKIN』(MACK 2020)『Jubilee』(artbeat publishers 2017)、『transparency is the new mystery』(MACK 2016)など。主な個展に「Sen to Me」(Takuro Someya Contemporary Art 2021 東京)、「NEW SKIN |あたらしい肌」(mumei 2019 東京)、「Jubilee」(nomad nomad 2017 香港)、など。主なグループ展に「Reflected-works from the Foam collection」(Foam Photography Museum 2014 オランダ)などがある。

Mayumi Hosokura, <i>Walking, diving</i> <br class='--mq'>© Mayumi Hosokura

Mayumi Hosokura, Walking, diving
© Mayumi Hosokura

Mayumi Hosokura, <i>Walking, diving</i> <br class='--mq'>© Mayumi Hosokura

Mayumi Hosokura, Walking, diving
© Mayumi Hosokura

Mayumi Hosokura, <i>Walking, diving</i> <br class='--mq'>© Mayumi Hosokura

Mayumi Hosokura, Walking, diving
© Mayumi Hosokura

Iwane Ai

岩根愛

東京都出身。1991年単身渡米、ペトロリアハイスクールに留学し、オフグリッド、自給自足の暮らしの中で学ぶ。帰国後、1996年より写真家として活動を始める。ハワイ移民を通じた福島とハワイの関わりをテーマに、2018 年、『KIPUKA』(青幻舎)を上梓、第44回木村伊兵衛写真賞、第44回伊奈信男賞受賞。ドキュメンタリー映画「盆唄」(中江裕司監督作品、2018年テレコムスタッフ)を企画、アソシエイト・プロデューサーを務めるなど、離れた土地の見えないつながりを発見するフィールドワーク的活動を続ける。最新作品集に『A NEW RIVER』(bookshop M 2020年)、著作に『キプカへの旅』(太田出版 2018年)『ハワイ島のボンダンス』(福音館書店 2016年)。

Ai Iwane, <i>A NEW RIVER</i> <br class='--mq'>© Ai Iwane

Ai Iwane, A NEW RIVER
© Ai Iwane

Ai Iwane, My Cherry 2024 from the series <i>A NEW RIVER</i> <br class='--mq'>© Ai Iwane

Ai Iwane, My Cherry 2024 from the series A NEW RIVER
© Ai Iwane

Ai Iwane, <i>A NEW RIVER</i> <br class='--mq'>© Ai Iwane

Ai Iwane, A NEW RIVER
© Ai Iwane

Okabe Momo

岡部桃

1981年に東京で生まれた岡部桃は、感情豊かな色彩を用いた親密でヴィヴィッドなドキュメンタリー写真を通じてジェンダー問題を探求している。彼女の最初の2つの出版物である「Dildo」(Session Press、2013年)と「Bible」(Session Press、2014年)は、2人の友人のジェンダーの移行を描いたもので、2015年には権威あるFOAM Paul Huf Awardを受賞し、アムステルダムのフォーム写真美術館での展示につながった。彼女が「心理的な風景」と表現するシリーズ「ILMATAR」は、無性愛者である彼女の妊娠中の内面に私たちを引き込む。彼女の作品は、Fotografiska(ストックホルム、2021年、ニューヨーク、2022年)、オーストラリア国立美術館(2020年)、シーボルトハウス博物館(2019年)で展示されました。2022年、KYOTOGRAPHIEの10周年を記念して開催された「10/10 Celebrating Contemporary Japanese Women Photographers」展では、10人の写真家の1人に選ばれた。

Momo Okabe, <i>ILMATAR</i>, 2017 <br class='--mq'>© Momo Okabe

Momo Okabe, ILMATAR, 2017
© Momo Okabe

Momo Okabe, <i>Bible</i>, 2014 <br class='--mq'>© Momo Okabe

Momo Okabe, Bible, 2014
© Momo Okabe

Momo Okabe, <i>Bible</i>, 2014 <br class='--mq'>© Momo Okabe

Momo Okabe, Bible, 2014
© Momo Okabe

Suzuki Mayumi

鈴木麻弓

1977年宮城県女川町生まれ。2001年日本大学芸術学部写真学科卒業。ヴィジュアルストーリーテラーとして、個人的な物語を通し作品を生み出している。1930年に祖父によって創業された写真館を営む家庭で18歳まで育ち、日本大学芸術学部写真学科で写真を学んだ。卒業後フリーランスとして、ポートレートを中心に活動。2011年3月11日、東日本大震災が発生し、故郷の宮城県女川町が津波で破壊され、両親が行方不明となった。以降、故郷へ足しげく通い、地域の人々の前に進む姿を記録し続けている。2020年より、自身の不妊治療の経験を描いた新作シリーズ〈豊穣(Hojo)〉の制作に取り組んでいる。2017年に自費出版した『The Restoration Will』で、PhotoBooxグランプリ受賞(イタリア)、 2018年PHOTO ESPANA国際部門・年間ベスト写真集賞(スペイン)など、欧州の写真アワードで大きく評価された。主な展示に「あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17」(東京都写真美術館 2020)などがある。

Mayumi Suzuki, <i>HOJO</i> <br class='--mq'>© Mayumi Suzuki

Mayumi Suzuki, HOJO
© Mayumi Suzuki

Mayumi Suzuki, <i>HOJO</i> <br class='--mq'>© Mayumi Suzuki

Mayumi Suzuki, HOJO
© Mayumi Suzuki

Mayumi Suzuki, <i>HOJO</i> <br class='--mq'>© Mayumi Suzuki

Mayumi Suzuki, HOJO
© Mayumi Suzuki

Tonomura Hideka

殿村任香

1979年生まれ。大阪ビジュアルアーツ放送・映画学科卒業後、2002年より写真を撮り始める。2008年、自身の家族の日常を赤裸々に撮った「母恋 ハハ・ラブ」を赤々舎より出版し鮮烈にデビュー。2013年には、新宿歌舞伎町でホステスとして夜の人々と生きながら撮った「ゼィコードゥミーユカリ」をZen Foto Galleryより出版し発表した。2019年にはがんと闘い向き合う女性のポートレートプロジェクト「SHINING WOMAN PROJECT」を立ち上げ精力的に活動し、国内のみならず海外からも注目され、2022年パリのヨーロッパ写真美術館のグループ展「Love Songs」に出品した「母恋 ハハ・ラブ」が同館のコレクションとして収蔵された。近年の著作には「cheki」(2018年、Morel Books)、「焦がれ死に die of love」(2018年、Zen Foto Gallery)、「SHINING WOMAN #cancerbeauty」(2020年、Zen Foto Gallery)「Toxic」(2022年、Zen Foto Gallery) などがある。

Hideka Tonomura, <i>soul trip</i>, 2012-2020 <br class='--mq'>© Hideka Tonomura

Hideka Tonomura, soul trip, 2012-2020
© Hideka Tonomura

Hideka Tonomura, <i>soul trip</i>, 2012-2020 <br class='--mq'>© Hideka Tonomura

Hideka Tonomura, soul trip, 2012-2020
© Hideka Tonomura

Hideka Tonomura, <i>soul trip</i>, 2012-2020 <br class='--mq'>© Hideka Tonomura

Hideka Tonomura, soul trip, 2012-2020
© Hideka Tonomura

Tamaki Yoshida

𠮷田多麻希

幼少期の影響で生き物好きに育ったこともあり、自然な流れで、日々移り行く世の中や、流行りが去ったと共に、忘れられる自然や生き物の姿を気にかけるようになる。2018年より作品の制作を重ね、自身の身に近い生物や自然の持つエネルギーを表現することを試みるため、サーモグラフィーカメラを使用して生物の息吹を可視化させる作品の制作に着手。同作品で2019年「キヤノン写真新世紀」優秀賞を受賞。また、現代の社会問題と自然や生き物への敬愛を同時に表現するためリサーチを開始。その結果を関連付ける実験的で抽象的な表現を試み、継続中のプロジェクトである〈Negative Ecology〉で2021年 KYOTOGRAPHIE Satellite「KG+ SELECT」グランプリ受賞。本プロジェクトは、野生の鹿を撮ったネガフィルムの現像失敗が契機となった。人の日常生活が、野生生物や自然界に侵食している様を想像し、東京から1000km離れ、豊かな自然が存在する北海道で撮影が始まった。撮影後、日常で使用する洗剤、研磨剤、歯磨き粉などの薬品類を混ぜ現像され作成されたネガフィルムは、汚染されダメージを受けているかもしれない野生生物や自然を表すメタファーでもある。化学薬品により損傷したネガから現れる画像は、見方によってはより強く鮮やかな姿で私たちの前に表れる。

Tamaki Yoshida, <i>Negative Ecology</i> <br class='--mq'>© Tamaki Yoshida

Tamaki Yoshida, Negative Ecology
© Tamaki Yoshida

Tamaki Yoshida, <i>Negative Ecology</i> <br class='--mq'>© Tamaki Yoshida

Tamaki Yoshida, Negative Ecology
© Tamaki Yoshida

Tamaki Yoshida, <i>Negative Ecology</i> <br class='--mq'>© Tamaki Yoshida

Tamaki Yoshida, Negative Ecology
© Tamaki Yoshida

TRANSCENDENCE(超越)
細倉真弓、岩根愛、岡部桃、鈴木麻弓、殿村任香、𠮷田多麻希

キュレーション
ルシール・レイボーズ、仲西祐介
セノグラフィー
小西啓睦
主催
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭
共同プロデュース
SIGMA
協力
KERING
This exhibition is part of
the "Arles Associé" sequence of
the Rencontres d’Arles.
ARLES ASSOCIE 2024
会場
VAGUE(Arles)
会期
2024年7月1日から9月29日 迄